Virtual6633 2021

岩手県一戸市~青森県青森市(170km)

7時過ぎに起きて荷物をまとめてホテルの朝食へ。8時にチェックアウトしたいので朝食の時間が少し短くなってしまう。今日は昨日の最後に電車でスキップした2駅を戻って小鳥谷駅から再スタートなので、1時間に1本しかない電車に乗り遅れると大変だ。朝食は種類が多く(ビュッフェで好きなだけ取れる)おいしかった。ゆっくりのんびりできたら最高だったが、じっくり食べたいものを選んでいる時間はなくエネルギーを詰め込む。やっぱり少し高めのホテル(こことかルートイン)は朝食も充実しているなあと思った。

私の予定ではこの日は二戸から十和田まで53kmと今回の旅ランの最短区間、または次の十和田から青森までの70km超をくっつけて130kmのチャレンジ区間になっている。調整弁のような一日。おかげで電車スキップの遅れを吸収することが可能になっている。予定の二戸から十和田の53kmにスキップ分の15kmを足して十和田まで約70km。

競争相手(昨日まで2位、今朝時点で1位)の人は安定して1日90km程度進んでいて残り150km。私は約20kmの差をつけられていて、勝つには残りの170kmを確実に2日で終える必要があった。難しいのは私は旅ランスタイルなのでホテルがないと宿泊できず都合の良い距離で切ることができない。そのため宿泊せずノンストップで170km進むことを考えながら走ることにした。ホテルがある十和田(70km)で最終判断すればよい。

走り始めたときは脚も痛いしとても青森まで一気に行けるとは思えなかったが、温まってくると意外とスムーズに脚を運べるようになった。急ぎ過ぎないように慎重に走る。また十和田から先に行くことも考えて体調を保つように補給を慎重に行う。二戸のワークマンでメリノウールソックスを2足買っておく。またこの後寒くなりそうなのでコンビニで手袋も買っておいた。持ってきた手袋はランニング用なので寒い中歩いているとけっこう冷えるのと、今夜少し天気が崩れる予報になっているため。

三戸で青森県に入った。○戸シリーズは岩手県かと思っていたが大半は青森県だった(1, 2, 9が岩手県)。470kmほども走ってくると「ようこそ青森県へ」の看板もめちゃめちゃ嬉しい。龍飛崎がより楽しみになった。走ってたどりついたらどんな景色に見えるだろう。道路のkm表示に青森と十和田が書かれているが自然と青森までの距離を意識するようになっていたので、これはもう十和田は通過して睡眠は取らずに青森駅までだなと思う。

夜になる前にコンビニで補給ついでにソックスを新しいものに換えておく。新しいソックスはふかふかして走り心地がよい。補給は荷物を重くしないように最小限。特に飲み物は自販機で手に入れる機会も多く、たくさん買っておく必要はない。五戸と八戸に道が分岐するところで五戸方面へ峠を登り始める。

峠を登りきったところで日没になりヘッドライトを点灯。五戸で夕食を食べたいと考えていた。ところが五戸に着くと国道4号沿いに店がまったくない。国道はバイパスになっていて五戸よりも高いところを通っている。だいたいの場所は国道がバイパスの場合は街の中にはローカル店、バイパス沿いはチェーン店が多いので「すき屋」とかを期待していた。五戸の市街地も深夜かというくらい暗く(実際は18時)期待できなさそうなので、手を付けずにいた予備の行動食を食べて次の十和田へ向かう。街と街の間は峠を超えることが多く登っていくと寒くなる。登りの途中にちょうどよく広いスペースと明るい街灯があったため、防寒用のウエアを重ね着する。

道の駅とわだに21時到着。国道をはさんでローソンもある。暖かく休憩できる場所がないかと、まず道の駅へ行ってみる。トイレの建物しか開いていなかったが男女のトイレの入口前(共有部分)が広くて明るく暖房も入っていたため座り込んで休憩。SNSには何も書かず、れなっちに電話をしてオーバーナイトで進むことを伝えた。競争を意識して無理をしないように言われる。その後、食べ物の調達にローソンに行くとイートインがあったので店員さんに食べていっていいか聞くと「なんでそんなこと聞くんだろう」というような表情で「大丈夫ですよ」と言われた(都会ではイートインはコロナ対策で使用禁止が多い)。もう当分食べなくていいようにハンバーグステーキ弁当と赤いきつねの大盛りを食べた(ちょっと苦しい)。出発前22時過ぎに一度STRAVAの計測を終わりにしてログをアップロードし再スタートする。ネット上では私がいつも通りの終了時刻にややペースダウンした70kmのログが上って来たように見える。(終了したように見せかけて徹夜で進む作戦)

道の駅を出ると細かな雪が降っていた。風もあるのでちょっとした吹雪。天気予報だと夜から明け方にかけてマイナス5度の予報なのでエネルギー切れにだけはならないように注意する。持っているウエアは全て着てしまっているので、それで寒かったら運動量で熱を発生させるしかない。動き始めて2時間経つともうお腹が空いてきた。苦しいほど食べておいたのに。寒いというだけでエネルギーの消費は大きくなる。また尿のペースも早くなるため脱水症状にならないように水分を取らなければいけない。時間を測ってみると40分に1回尿を出していた。水分と一緒にミネラル&カフェインのカプセルも飲む。今回はそれほど時間をシビアに考えていなかったのでミネラル&カフェインのカプセルにはあまり頼らず普通の食事で大丈夫と思っていたが、進行の遅れを行動時間でカバーして動きながら食べるのがほとんどになっているため菓子パンなどが多く普通の食事をしていない。ただカプセルは20粒しか持ってきていないため、ここまでは調子が悪くなったときのリカバリに使っていた。しかし残りの距離が少くなってきたため予防(普通の補給)として飲むことも可能になっている。

十和田から七戸は意外とコンビニがしっかりあり24時間営業だった。夜の間は寒いので安全第一で体力温存のため走らず体が一定の暖かさになるように注意する。道の駅を出てからずいぶん長い間左折「十和田市街」の標識が出ていて十和田市街の周りを回っているのか?という感じ。やっと十和田市街から離れる方向に曲がったところでGoogle Mapを確認すると「まだここ?(道の駅からこれしか進んでいないのか?)」という状況だった。 ※帰宅して見直していたところ道の駅の場所を間違えていて思ったよりも4km手前にいた。

七戸で眠くなってきた。食べても飲んでも眠気に効かないので本当に眠いらしい。コンビニは定期的にあるがコンビニが24時間営業でなくてもよいように道の駅でしっかり買ってきてしまったためコンビニに入っても買うものがなく入るのをためらっていた。しかし我慢できなくなったためイートインのあるコンビニ(ファミリーマートみちのく天間林店)に入ってサンドイッチとコーヒーを買う。イートインで食べて行っていいか店員のおじさんに聞くと不愛想に「いいですよ」と言った。人当たりの良さそうな人だったら、本当は「ちょっと寝て行ってもいいですか?」と聞きたかったのだが、そういう空気ではなかったので机に突っ伏して15分だけ寝る。15分くらいなら見逃してくれるだろう。それで睡眠が足りなければ次のコンビニに入るまでだ。15分後に起きて荷物をまとめる。店員のおじさんからしたら、吹雪の深夜にヘッドライト付けた人が来てコーヒーとサンドイッチを食べて休憩して出ていくって「あれはなんだったんだろう、どこに行くんだろう」と思っただろう。

外に出ると少し明るくなっていて雪は止んでいた。眠気もなく十分動けそう。昨日のスタートから100km以上進んでいるが軽く走ってみると走ることもできる。すっかり朝になった7時前に野辺地町に到着。そしてついに海が見えた!コンビニでホットコーヒーを一気飲みする(トイレに行きたかっただけ)。青森までもあと40kmほど、6633フィニッシュまでも60kmに迫っていた。先を急ぎたくなってしばらく走って進むと海沿いに出る。向こうに見える陸地は北海道?なわけはなく海は陸奥湾で向こう側に見えるのは下北半島だった。

これまでだと競争相手が1日の行動を終了する時間になったためwebでログをチェックした。1晩(向こうでは日中)で37km, 32km, 17kmといつものパターンでログが残っていて、フィニッシュまでの残りが65kmになっていた。夜通し行動したため、この時点で私のほうが少し先行している。ここで競争相手の選択は2つ「残り65kmを続けて一気に行く」「少し睡眠を取る」。残り一気にの場合は、昨日からの連続行動時間が私のほうが4時間ほど長くなるが、現時点で少し先行+こちらは昼間、競争相手は深夜の行動なのでこちらがやや有利。競争相手が睡眠を取ってくれればほぼ私の勝ちと考えていた。寝てくれたほうが都合がいいので、昨夜いつも通りの時間に70kmのログをアップして残り100kmに見せかけてある。競争相手側から素直に見れば私の最終日は早朝スタートで100kmなので睡眠を取る時間があると思うはず(実際はもう残り60kmを切っている)。

平内町あたりで急に体がだるくなり歩いていても足が痛い状態になってきた。野辺地で調子に乗って走っていたからか・・・。あと少しなのでここまで来てつぶれたくはない。ミネラル&カフェインのカプセルを飲んでも、食べ物、飲み物をとっても改善せず。最後の手段でコンビニに入りカップうどん(赤いきつね大盛り)を食べていくことにした。イートイン利用OKがずっと続いていたのでイートイン休憩で回復させるつもりだったが、ここにきて「今、イートイン使えないんですよー」と言われてしまった。仕方なく駐車場に座ってうどんを食べる。しかし補給は十分だったようで半分くらい残して捨ててしまった。ついでに最後の1足の新品のワークマンソックスに履き替える。もうあと数時間(10時間はかからない)ところに迫っているので総力戦で使えるものはすべて使う。

やれることは全てやったが足は痛く走れないまま。夏泊半島を超えると青森市へ続く海岸線が見えて海沿いに出た。素晴らしい景色でこれでラストスパートできたら楽しいのだが、海に出たことで強烈な向かい風にもさらされるようになりさらに進みが遅くなる。しばらく耐えて進むと国道4号は海から離れ坂道を登って少し内陸に入った。ここで足裏が痛過ぎてストップ。脇道に入りアスファルトに足を投げ出して座りシューズを脱いでこれからどうしようか途方に暮れた。青森までの距離表示は8km、6633フィニッシュ距離まで28kmだった。もうだめだと思ったが、一番近い駅に行くのも青森駅に行くのも大した違いはなく青森駅に向かうしかなさそう。

しばらくノロノロ歩いていると東北地方の和食ファミレスまるまつを発見(これまで北上店、紫波店にも立ち寄っていておいしかった)。気分転換にランチにしようかとお店のドアの前まで行ったが、ペースはノロノロだが残りの距離も少しだし進むべきだと思い道に戻った。歩いているうちに、痛いのはかかとだけだと気が付いた。そこでつま先(超フォアフット)で走ってみると痛みなく走ることができた。疲労は大きいが足を引きずって歩いているよりはましだった。webログを見ると競争相手はまだフィニッシュしていない、ログもアップされていない。しかし睡眠を取らない選択をしている場合はあと2~3時間でフィニッシュする可能性がある。勝てる可能性はまだあると思いとにかく走った。青森駅が近くなってからはコースはあまり気にせず赤信号になったら青信号のほうに進むようにして動き続けた。バーチャルレースはGPSの距離だけで決まるので動き続けることが大事。また青森駅に着いたらロッカーに荷物を入れてスマホだけ持って走ろうとロッカーの有無・場所も調べておく。

16時ごろ青森駅に到着。残りの距離は15km。荷物をロッカーに入れてスマホと念のためクレジットカードも持って走りだす。駅前から人通りの少なそうな線路沿いの道をダッシュ!するが500mで失速。走り始めた直後だけ軽く感じたが、荷物を背負わなくても体は重く脚は痛い。寝ずに160kmほど進んできたんだから当たり前か。レースのwebログをリロードしながらなるべく速くジョギングするが距離がなかなか進まない。10kmちょっとのジョグはこんなにも遠いのかと思った。ペースもどんどん落ちていき赤信号で停止できるとホッとする。時間ばかりが過ぎていき日没になり急激に気温が下がる。荷物を置いてきてしまっているので寒さ対策もできずに体が冷やされる。残りの距離が3kmになったところで青森駅のほうに戻り始める。その時レースのwebログの競争相手の距離が更新され、残り65kmのうちの35km進んだログがアップされた。現時点でまだ30km残っているということが確実なので私の1位が確定した。青森駅前で規定の距離を十分に超えたことを確認して計測終了そして送信。やっとレースが終わった。

ロッカーで荷物を出してネットで青森駅前の東横インを予約する(もう目の前にいるけど)。コンビニで夕食を買ってからチェックイン。本当は明日も走って龍飛崎を目指す予定になっているが、もう6633はクリアしてしまったし、もう歩くこともままならないので明日何をするかは明日考えることにしてさっさと寝ることにした。時間を気にせずに眠れるのは幸せである。

Virtual 6633の結果
順位:1位
距離:616km
時間:6日と9時間31分(プランAから3時間31分遅れ)

※プランAの到達地点龍飛崎に対し青森駅+αまでしか走っていないが、GPSでの走行距離はプランAの龍飛崎までの距離を走っている。