SALOMON X-Adventure
2010/07/02(金)〜04(日)
群馬県みなかみ町でX-Adventure2010みなかみが開催された。今回は主管であるEASTWINDからスタッフ参加の要請を受けて出動し2日間山岳スタッフとしてお手伝いさせていただいた(いや〜大したことはしていないんだけど)。このレースは4人1チームのアドベンチャーレースでコース上に出る選手3人とサポートカーで選手の装備品を運んだりキャンプや食事の準備をするアシスタント1名でおこなう。競技種目はトレッキング、マウンテンバイク、ラフティング、キャニオニング、ロープアクティビティがあり全コースにわたってナビゲーションが必要とされる。2日間(競技時間は30時間ちょっと)で約150kmを進むレースである。
■7月2日(金)
18時過ぎレースのスタート会場になる宝台樹スキー場に到着。さっそくスタッフミーティングがおこなわれ各スタッフの明日からの動きや競技地図などの資料が配られる。自分は競技1日目はトレッキングステージの剣が峰のコントロール設置と選手の通過確認をおこないそのあとは奈良俣キャンプ場で待機となっている。意外と楽?そうだ。ただ剣が峰待機だと競技コースの最高標高地点である武尊山には登ることができないのでちょっと残念。20時から開会式と選手へのブリーフィングがおこなわれる。今回はルールが複雑なため選手からの質問もやまほどありブリーフィングが終わったのは22時過ぎ。会場を片付けてから宝台樹キャンプ場に引き上げてバンガローに宿泊。
■7月3日(土)
朝4時に起きて宝台樹スキー場に移動。3時間ちょっとは寝れたかな?眠い2日間になりそうだ。念入りに自分の動きやスケジュールを確認し山に登る準備をする。スタートから2〜3時間後にはトップチームが武尊山に来そうなのでスタート前に登山開始しないといけないかなと思っていたらスタートを見送ってからで間に合うということだった。各チームへの配布物(大会側から渡すGPSトラッキング用携帯電話など)を配る手伝いなどしながらスタートを待つ。6時にスタート。スタートを見送っているとやはり自分も選手としてここに立ちたかったと思う。セクションAはマウンテンバイクでスキー場周辺に設置された4つのコントロールを好きな順番で通過してからスタート地点に戻りセクションBのトレッキングになる。どのコントロールからまわってもいいのでスタート直後からコースがばらけた。
セクションA MTBスタート at宝台樹スキー場
選手を見送ってからトレッキングステージのスタッフ6人で登山する。武尊山・鎖場・剣が峰の3地点に2人ずつ待機する。最近あまり運動をしていないので少し走りたいと思い、先に1人で走っていくことにした。車を停めた登山口から剣が峰までは標高差1000m程度。大したことはないと思って行ったのだが・・・かなりきつかった。前半は緩やかに小刻みなアップダウンで走りやすかったが後半は荒れた登山道に激斜面。岩や木の根っこが雨で濡れてつるつるだった。登りよりもここを下って帰ることを考えると気が重くなる。バテ気味になりながら1時間40分ほどで剣が峰に到着。ここで待機して全てのチームが通過したらコントロールを回収して下山する。
待機している間は時々雨が降ったりもしたが風もなく穏やかで快適に過ごせた。小さな虫が飛びまわっていて選手がやってくると虫も一緒に引き連れて来るので何チームか同時に到着するとすごい虫の数になる。虫よけをたっぷり付けていたのでそんなにひどくは刺されなかった。このレースには長野朝日放送の取材が入っていて武尊山、剣が峰の上空をヘリコプターがぐるぐる飛んでいる。3時間半ほど待機し全チームが通過したので下山開始。武尊山のスタッフも合流して6人で下山した。
セクションB トレッキング at剣が峰
宝台樹スキー場に戻ると大会本部はすでにほぼ撤収され次の奈良俣キャンプ場に移動していた。剣が峰からの下山中に動きながらも眠くなってきていたので奈良俣キャンプ場に移動する前に車でこっそり30分ほど仮眠する。16時ごろ奈良俣キャンプ場に到着。選手はダム湖のカヌーステージをおこなっていた。ここでは特に役割は割り振られてなく「待機」だったので、のんびりぶらぶらする。カヌーが終わったチームはこのキャンプ場を起点にしてバイアスロン、MTB(セクションD・E・F)とおこなうためしばらくの間はキャンプ場はいろいろなチームが出入りしてにぎやかな感じ。全てのチームがキャンプ場をMTBで出発したら1日目のゴールであるキャニオンズ(ラフティング会社)の駐車場へ移動する。多くのチームがMTBへの出発は夕方遅い時間になったためゴールするのは日付が変わるころだろう。
キャニオンズに移動するとスタッフや各チームのアシスタントの車が続々と到着してくる。雨が降る中駐車場スタッフする。トップがゴールしてくるのを待つが22時を過ぎても一向に到着せず。選手は到着したらここで仮眠をして明日の早朝に次のステージへ移動するが、1日目のゴールがあまりにも遅くなると徹夜もあり得る。もちろんスタッフにも徹夜があり得る。幸いキャニオンズのシャワーを使わせてもらうことができたのでシャワーを浴びて乾いた服に着替えてさっぱりする。トップチームでも日付が変わってゴールか?という状況になりつつあったので最低限のスタッフを残して仮眠部屋を用意してあるクラウンズビラへ移動。キャニオンズを出発したときにトップのチームとすれ違った。途中で水紀行館に寄って明日のゴール会場になる場所にテントの準備をする。24時過ぎにクラウンズビラで就寝。なんとか4時間寝れるのはうれしい。
■7月4日(日)
4時15分にクラウンズビラを出発してJA裏手の利根川へ向かう。ここが今日のスタート場所でラフティングで利根川を下る。ラフティングの途中にも川岸にコントロールが設置されていてコントロールの場所にラフトボートをつけなければならない。数年前にここのレースに出た時はコントロールの反対側の岸に流されてチームメイトが泳いでコントロールの通過チェックしに行ったっけと思いだす。ラフトボートをスタート地点に運んだりしているうちに各チームも集まりスタートに向けて盛り上がってくる。たいすけ氏がいたので「寝れた?」と聞くと午前2時ごろMTBをゴールしたらしく少ししか睡眠していないようだった。6時にセクションGラフティングスタート。
セクションG ラフティングスタート at利根川
スタート会場の撤収(スポンサーのバナーなどの片付け)をおこない、すぐにラフティングの上陸地点(下流へ10kmほど)へ移動する。選手はラフティングが終わるとMTBに乗り換えて次のステージへ。ここではタイムのチェックをおこなったがラフティングのゴールラインとMTBのスタート場所が離れているため到着・出発の時間チェックは大混乱になった・・・。このレースではステージ間に必ず15分の休憩(トランジットと言われる次ステージの準備)が必要なので到着タイムから15分経過しているかチェックが必要なのだ。ラフティングはそれほどタイム差はつかないので全チームさっさと通過する。次はノルンスキー場の第5駐車場でトレッキングの準備だ。
ノルンスキー場に行く途中でカッパクラブに寄り山ビルファイターをもらう。この後自分はトレッキングステージのスイーパーとして全チームの後方からコントロールの撤収と選手の通過確認をおこなうのだが、そのエリアはヒルが大量発生する場所なので無防備に入るわけにはいかない。山ビルファイターは濃厚な殺虫剤みたいなものでシューズや衣服に吹きかけておきヒルがつくのを防ぐものだ。くっついたヒルに吹きかけてヒルを除去するものもあるのだがカッパクラブには置いてなくかまれたらもう諦めるしかない?という状態だ。ノルンの駐車場に移動して再びスポンサーのバナーの設置などしながら選手の到着を待つ。ここでは自分もヒルと藪のすごいエリアに突入しなければいけないので手が空くたびに地図とこれから入る山のほうを見る。どう見ても道はなく容赦ないことになりそうだ(笑)スタッフ管理担当のヨーキ氏が「ここはきちんと地図を読んで動ける人でないとだめだからお願いしたんですよ」と言う。世界と戦うEASTWINDにそう思ってもらえるとはありがたき幸せ。
最終チームと一緒にセクションIトレッキングに突入する。入っていくなり足元にうにうに動く嫌な奴を見つけてしまった(爆)スイーパーがぴたっと後ろに付けていてはやりづらいだろうと、かろうじて見えるかどうか、ぎりぎり気配を感じるくらいの間を空けて最終チームについていく。なんか選手が「スイーパー来てなくない?」とか会話するのが聞こえましたが、ちゃんとこっそり見張っています(笑)1つめのコントロールを選手が過ぎたのでコントロールを回収しさらに進んでいく。回収作業中に選手はどんどん行ってしまうのでここからは真面目に地図読み。2つめのコントロールの先には崖があり落ちないように誘導テープが張られているので誘導テープも回収。ここで誘導テープを回収しながら自分が滑落(笑)なんとか5mくらい滑って止まる。
3つめに向かうルートは山の斜面をトラバースしていく感じ。目標地点(尾根)よりも少し上を狙って尾根を上から下りる感じで行こうと思ったが激しく藪でどうにもならなくなってくる。上を見ると山頂に向かって日当たりが良くなっていく感じでこういう場所は登ってもひどいことになるだけなので(日当たりがいいと藪もよく成長している)一度標高を下げて森の中に戻って下からアタックする。3つめのコントロールで最終チームに追いついた。最終チームがここでヒル避けスプレーを使っていたので「自分にもかけてください」とお願いして念を入れてスプレー。意外にもここまでは被害なしな感じ。でも選手はしっかりヒルにたかられていました。コントロールの通過カードを見るとなんと1チームまだ来ていない。どこかで迷子になっているのを抜かしてきてしまったようだ。しかも制限時間よりもかなり前に出たチームじゃないか・・・ということで、このコントロールで来ていないチームの消息をつかめるまで待機。
20〜30分ほど待っていると熊鈴の音が聞こえてきた。やっとこれで動ける。かなり迷走したらしい彼らを見送ってから4つめのコントロールへ向かう。一度道路に出て他のスタッフと情報交換してから再び山へ。激しい藪の急斜面を登る。本日もっとも厳しい藪に難航。どう考えても人どころか生き物が通る場所ではありません。壁のような藪を突破して4つめのコントロール回収。あとは下ればトレッキングステージは終わり。レースモードでチームで動いていれば勢いで問題なくても一人でこのコースは精神的にへこみます。すでにヒルなんかどうでもよくなりひたすら前へ進んでる感じ。下れば終わり・・・と思っていたらすごく深い両側が切り立った崖のような沢(水が流れていて川になっている)が出現。地図で見てもそんな場所はないような?地図上では等高線がうまく表現できていない疑いもあり沢に突入するのをためらう。突っ込んで行き詰ったら戻ってこれるかわからないので高巻きして様子を伺うがやっぱりそこを下りていく以外になさそうなので沢へ下りる。ルートは合っていて狙った地点(道路)に出ることができた。セクションIのゴールのスタッフと合流してお昼ご飯をもらいミッション完了!。グローブの中にヒルが入って思い切り血を吸われていたが被害はそれだけだった。ヨーキ氏が塩を持っていたのでそれでヒルを除去。選手はこの次は短い区間のキャニオニングをおこなってゴールなのでほとんどのチームがすでにゴールしている。カッパクラブに置いた自分の車に送ってもらいしばらく休憩。表彰式・閉会式の時間に合わせて水紀行館へ行く。
表彰式・閉会式が終わって選手スタッフみんなで記念撮影。今回は意外と夜も睡眠時間を取れたので楽だったかも。ロゲイニングで実行委員長やっているときよりはるかに気が楽な立場なので楽しかったな。今度はできれば選手として来たいがチームが組めなければまたスタッフしに来よう。仏岩温泉に入ってさっぱりしてから帰宅。よけいなことだけどSUZUKIがスポンサーなのに優勝しても車はもらえないんだと思った(爆)