サハラ・レース
2009/10/25(日)
Stage1 Arabian Night(34.3km、4:06’52、7 位)
砂漠への移動へ Stage2 Marathon el Qarawinへ
7 時起床。さっそくアルファ米の赤飯とサンマの缶詰で朝食。初日の朝食はスタート前に食べてしまい背負わなくてよいので重さを気にせずおいしいものを食べられる。ここでも豪華な食事をする宍戸さん。フリーズドライの小さな中華丼を食べている高橋くんの横でレトルトの中華丼を食べおでんの缶詰を空ける(笑)昨日大量に持ってきたおやつはバスのトラブルなどであまり消費してなく捨てるのももったいないので予定していた食品に 加えて前日の晩御飯の予定だった残りの「カレーうどん」「果汁グミ(グレープ)」「おしるこ」をそのままレース中の食品に加えて持っていくことにした。すばやく準備を終えてから、最近1週間は観光でよく歩いたけど走っていないので佐藤くんとキャンプ地の回りをジョグしてアップする。村上さんに「調子はどう?」と聞かれ「パーフェクトです」と答える。岩瀬さんはゲーターのマジックテープを安全ピンで無理やりシューズのソールに取り付けて香港の女の子に「クレイジー!」と言われていました。
今大会は23 カ国から120 人のチャレンジャーが集まった。近藤さんによると今回はあちこちのレースで実績の ある競技者や冒険家が多く参加していて上位はハイレベルな争いが予想されるとのこと。自分も気合を入れて超人を1 人でも倒せるようにベストを尽くす。8 時半すぎからブリーフィングがおこなわれる。それが終わると意外と時間に余裕がなくスタートまであと5 分とかカウントダウンが始まる。自分の今日の作戦は最初は先頭集団を走りトップの様子を見てから残りは抑え気味に行く予定。
スタートして最初は硬い地面の上に薄らとやわらかい砂が降り積もったような地面で走りやすい。先頭に飛び出してみるが先頭の3 人はちょっと抜けている速さだったのでついて行かない。体の動きは最高、荷物も重く感じない。砂地の中にある白い岩は石灰岩で、風で削られて不思議な形をしているものが多い。この白い岩を指して白砂漠と言われている。2 番手集団7 位に定着しCP1に到着。
CP(チェックポイント)は、だいたい10km に1 つ設置されていてスタッフと医師が常駐している。CP では水 の補給を受けることができ1 人あたり補給を受けれる最大の量は1.5 リットルである。自分の場合1つの区間を走りきった場合で水を1 リットル消費するため今回は500ml のペットボトルを2 本用意している。つまりCP でスタッフに1.5 リットルのペットボトルを空けてもらってもすべて持っていくことはできない。ここでは涼しい時間帯の最初のCP ということもあって500ml 程度しか水を使っていなかったためスタッフから1.5 リットル のボトルは受け取らず自分のボトルに水を注いでもらった。
CP1 を出発してからも順位は安定。前方には4 位から6 位までの3 人の姿が見える。後ろを振り返るとはるか 彼方まで人影はまったくなし。1 位から3 位までの先頭集団と、4 位から7 位の2 番手集団は早くも順位確定でその集団内の争いかなという雰囲気になってきた。CP2 で近藤さんに「先頭との差は15 分」と言われる(近藤 さんはCP2 の責任者らしい)。CP2 までは走りやすかったがその後は砂がやや深くなったりして走りにくい地面が多くなる。硬い岩盤も筋力が落ちてきたのかきつさを感じる。4 位から6 位を見失わないように走っているといつのまにかコースを示すフラッグが見当たらなくなっていた。みんな道見失ってないよな・・・と思いながら走って行くとCP3 に到着しほっとする。
CP3 を過ぎて6 位のイタリア人選手に追いつく。話しかけてきたのでお互いに名前を教え合う。彼は「パオロ」と言った。パオロを抜き去って前を追いかけるがしばらくするとパオロにまた抜かされてしまった。だんだん4 位から6 位についていくのがきつくなってくる。しかし相変わらず後ろにはまったく人がいないので置いて行かれると1 人になってしまう。地面に岩盤が多くなって1 位から3 位の足跡がわからなくなりコース目印の旗もピンク色なので明るい灰色の岩盤の上では目立たずコースを見失いがち。途中で車のタイヤ跡といくつかの足跡を横切った。「あれっ?これは先頭集団の足跡かな?」と思ったが前の3 人はその足跡が向かう方向とは違う方向に向かって進んでいく。1 人で目印のフラッグも見当たらない足跡を追いかける勇気はなく前について行く。
しばらくするとパオロが立ち止っている。お手上げのしぐさをして「ロストしてしまった。フラッグを見なかったか?」と聞いてきた。「見ていない」と答えつつ「まじっすか?」と思う。今回自分は軽量化のため水を最大1リットルしか持っていない。これは1 区間を走り切るのにぎりぎり必要な量。長時間のコースアウトは命取りになる。それでも「やっぱりさっきの足跡だ」と思い先ほどの足跡の向かっていた方角に歩き始める。
同じ方角に向かって歩き始めるパオロ。4 位と5 位の選手は別の方向を探索しているようだ。進行方向を見ると白砂漠の白い巨大な岩がたくさんそびえ立っているのが見える。コースガイドのキャンプサイト名に「The White Desert」と書いてあったのを思い出し、おそらくあそこがキャンプ地に違いないと思う。
フラッグを探しながらおそらく正しいと思われる方角に歩いて行くとスタッフの車が走って行くのが見えた。パオロが「おおー!」と大声を上げてスタッフの車に手を振る。スタッフの車を呼びとめて4 位と5 位が違う方角に行ったことを伝えようとしているのだと思うが、スタッフの車は自分とパオロがコースに復帰できそうなのを見て満足したのか白い巨石がそびえ立っているほうに消えていった。コースアウトで心が折れ歩いてゴールを目指す。4 位と5 位の選手も前方でコースに復帰してきていた。ゴール目前で後続の選手が迫ってきていることに気がつく。ここまで来て順位を落としたくないのでゴール直前だけなんとか走って7 位でゴール。先にゴールしていた選手たちと「グッジョーブ!!」と握手する。
ゴールのチェックを受けているところで4 位から6 位の選手がスタッフに「コースわかんねーよ」と抗議していた(言葉はわからないけれどそういう雰囲気だった)。たまたまコースアウトする少し前に足跡と車のタイヤ跡を見ていたこと、今日のキャンプ地が特徴のある場所で離れたところからでも「あの辺かもしれない」と予測できたことからコースに戻ることができたが、そうでなければどうなっていたんだろうと少し怖くなった。ゴールしたときにもらえる水1.5 リットルのペットボトル3 本を抱えてテントに向かう。この合計4.5 リットルの水は明日のレースがスタートしてCP1 に到着するまでの水である。大切に使わなければならない。
テントの日陰に入ってもすごい暑さ。時間は13 時を過ぎたばかり1 日のうちで最も気温の上がる時間帯。横に なってバンダナに水を少しずつ浸みこませ体に水をつけてアイシングしながら暑さに耐える。いまいち食欲も出ないのでグミを食べることにし袋を開けると、ネバーっと水アメのようになっている。あまりの暑さにグミが液体になっていた。16 時過ぎに宍戸さんがゴールし凧を上げるというので見物に出る。ちょうどいい風が吹いて いて白砂漠の上空を気持ちよく飛ぶゲイラカイト。
日が暮れてもぐったり寝ていると外で雨音。砂漠で雨?年間降水量25mm のこの場所で雨が降るなんて!うと うと眠りこんで目覚めると21 時50 分。周りはすっかり寝静まっている。夕食のタイミングを逃してしまったので何か食べようとグミの袋を見ると昼間液体になっていたのが固まって1つの大きなグミになっていたのでそ れを食べる。テントの外に出て歯を磨いてから就寝。寝るにはちょうどいい気温で長袖・ロングタイツを着ていれば寝袋の中に入らなくて大丈夫。 多少湿度があって気温が下がりにくいのか、テントがサハラマラソンのように屋根だけではなく壁があるしっかりした作りだから快適なのか。 寝袋の上にごろっと横になって寝た。
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